4月10日(水)伊東アルプス
4月25日(木)若葉燃ゆ
アマギシャクナゲの下見に行くと言う友人とともに、滑沢歩道から三蓋山をかすめ、小僧山をグルリと回ってきました。
4月に入って初めての天城。昨日までの雨もあって、沢沿いの岩の苔も青々と美しく、ブナも一気に新芽を吹き始めていました。
あわあわ、やわやわ、柔らかな色合いの芽吹きの季節は最高です。
アマギシャクナゲの花芽はまだ固く、やはり咲き始めるのは5月連休を過ぎたあたりからでしょうか。
トウゴクミツバツツジは咲き始めています。
当たり前すぎてあまり気にも留めないヤブツバキは、今が盛りで、まだ色の乏しい森の中で灯りをともしたように美しい。
小僧山からはいくつも支尾根や沢が伸びています。
その一つの沢を下り、尾根を登り返して小僧山と猿山の中間点の尾根に戻ってきました。
私も何度か友人に同行しましたが、今日で猿山・小僧山の尾根、沢筋は全て歩いたとのこと。本当にお疲れさま、これで一応の一区切りです。
12月に猿山で行方不明になった方が見つかればと思ってのことでした。残念な結果となったとはいえ、同じ山歩きを愛する者として、何とか見つけてあげたいというやむにやまれぬ気持ち、私も同じでした。
いつか、家族のもとに帰れる日が来ることを願って止みません。
沢筋に見つけた可愛い花一輪。一輪ですが、ニリンソウのようです。
雨の後だったせいか、ブナの倒木にはキノコ。特徴ある裏側、何とヌメリツバタケモドキです。
キノコ師匠に早速報告したところ、息の長いキノコとのこと。師匠の好物のキノコでもあります。味はありませんが、とろりとした食感でお味噌汁に入れると美味しいキノコです。
4月19日(金)植物観察&
一番手のスミレに続いて、二番手のスミレも咲き始めました。
スミレを大きく分けると、地上茎のあるものとないものに大別できます。
地上茎のあるスミレで身近に見られるのは、タチツボスミレとニョイスミレ。ほとんどこの2つと思って間違いありません。
ニョイスミレはタチツボスミレより遅く咲き始めます。小さなスミレですが、スックと立ち上がり、背筋をピンと伸ばした美しい立ち姿です。
一方で地上茎のないスミレは、少なくとも身近では圧倒的に種類が多く、悩まされます。それがまた面白いところでもあります。
シコクスミレを見つけました。
葉がフタバアオイのように端正で独特な凹凸があるので、覚えてしまえば簡単です。
その名はシコク(四国)からかと思いきや、四角だそうな。花を見てみると全体のフォルムが四角く見えます。
咲き始めました!小さな、目立たないスミレですが、真っ白な花に紅紫色の距がお洒落です。
私の一番好きなスミレです。
日本特産のスミレ。
花だけ見れば、フモトスミレやヒメミヤマスミレとよく似ていますが、萼片が反り返ること、葉が全体的に紫を帯びたり、葉脈が紫色だったりします。
明るい草原にはスミレの中のスミレ。
紫色が濃く、スミレ代表であるのも頷けます。
スミレのほかにも、春の花たちが続々登場します。
そっくりさんは、ミツバツチグリとヘビイチゴ。
今日はスミレ観察がメインではありましたが、こちらも見逃せなく・・・座っていてもグルリと一つかみ採れるほど。帰路はたくさん摘んで帰りました。
4月15日(月)植物観察
富士山の南西麓にやって来ました。初めてです。宝永火口の位置がずいぶんと違って見えますが、どこで見ても美しい山です。
西臼塚は富士山の側火山の一つで、麓はなだらか、入口辺りにはモミの林が広がり、林床には点々とミツマタの花とバイケイソウ。
ゆるゆる登って行くとブナ、ミズナラ、カエデの広葉樹林が広がって西臼塚へと続いていきます。
初めましての花たち。
ジロボウエンゴサクはよく見かける花ですが、それより少し青味の紫。
よくよく見てみれば、ヤマエンゴサクです。
ジロボウエンゴサクの苞葉は切れ込みませんが、ヤマエンゴサクの苞葉は櫛型に切れ込みます。(青矢印→が苞葉)
ネコノメソウの中では一番華やか、と言っていいでしょう。かねてより会いたかった花でした。
鮮やかな黄色、大きく角ばった形をしています。この辺り一面に広がっていました。
ホウノキの実かと思い、拾い上げようとしたら、何と根っ子あり。これはなかなか難題でしたが、どうやらヤマウツボのようです。ブナやカバノキなどの根に寄生する植物です。
ほとんど落ち葉と同化していて目立ちません。お目にかかれて本当にうれしい植物の一つです。
こちらも初めましてです。何と可愛らしいこと。
西臼塚の山頂は、小さなすり鉢状の火口になっています。
大きなミズナラの根元には、山神様の小さな祠がありました。
大きなウロのできたミズナラは、ずいぶん高齢のようでしたが、見上げればまだ健在。若芽が吹き始めていました。
早春の花たちが満載。また訪れたいと思います。
4月10日(水)伊東アルプス
矢筈山の鹿路場峠から冷川峠に伸びる尾根筋に連なるオオシマザクラは、今では誰が植えたのか分からなくなり、歩く人がいなくなっても、変わることなくひっそりと咲き続けています。
間の山が見えてきました。導くように桜の帯が続いています
まさに今が盛り。坂口安吾の「桜の森の満開の下」の趣き。桜の天蓋の下はヒンヤリとしています。
間の山からは、矢筈山の麓に向かって続く尾根を、白い桜の帯がうねりながら伸びているのが一望です。ここまで来ないと見ることのできない景色、見事です。
反対側には富士山も見えています。
今年も来ることができました。アップダウンの激しいこの尾根にいつまで歩いて来られるでしょうか・・・
本日のスミレ。
別名テングスミレ。ひと際長い距が目印。花が前から風を受けて、後ろに吹き流されているかのようなのも面白い特徴です。
日当たりの良い暖かな斜面に小さなフモトスミレの群れ。
小さくて、小さくて、桜の花びらかと見紛うほど。白い花、唇弁を彩る紫の筋、距は紅紫に染め、葉裏はこっそり紫色。
小さいながら本当におしゃれなスミレです。
4月6日(金)スミレの季節
桜が咲きそろってきました。標高600m辺りのオオシマザクラはまだ蕾でしたが、下の方では満開です。
今年もまたこの季節がやって来ました。60種、変種・亜種を含めて150種と言われるスミレ。ルーペ片手に、図鑑と首っ引きで観察し始めて4~5年でしょうか。毎年、半分以上を忘れてしまいます。それでも繰り返し繰り返しを繰り返して、少しずつながらわかるようになったスミレに会えると、とてもうれしいです。
先週は、タチツボスミレしか咲いていませんでしたが、1週間でいろいろなスミレが咲き出しています。
ふんわり丸い感じの花姿はあたたかな雰囲気です。白いマルバスミレ。
スミレらしからぬ葉を持つスミレ2種。
比べてみると、葉の切れ込みの違いが良く分かります。
淡い紫色の花はエイザンスミレ。白花のヒゴスミレ。
よく似ているフモトスミレとヒメミヤマスミレ。
反り返る上弁、下を向く側弁、唇弁には多くの紫色の筋、カマキリの頭形の花柱、葉裏は紫。フモトスミレのようです。
ようやく蕾を付けたところの、恐らくヒメミヤマスミレ。
花の確認はできませんが、葉裏が緑。葉裏の色の違いも絶対的ではなく、緑色のフモトスミレもあれば、紫色になるヒメミヤマスミレもあって、まったくどっちなの?と思うことはしばしば。
フモトスミレは、日当たりの良いところでよく見かけ、ヒメミヤマスミレは照葉樹林帯の日陰に多い点が見分けの大きなポイントになります。
とはいえ、変異の多いフモトスミレとその亜種であるヒメミヤマスミレは全くややこしくて、だからこそ面白い。
こちらは未同定。葉が細長いのでナガバノスミレサイシンかと思ったのですが、確信なし。
日当たりの良い草地には、たくさん群れ咲いています。ふんわり丸っこく、タチツボスミレに比べて、紫色が濃くて、白い部分がくっきりしています。
春の花いろいろ。
ヤマネコノメソウは早くも種を付け始めています。細長い鞘の中に、小さな茶色の種がぎっしり入っています。こうなると「猫の目」と言われる所以が分かるようになります。
毎年この時期は獲り切れないほど生えているのですが、今年はほんの一握り。それでもうれしい初物です。
3月27日(水)函南原生林
久しぶりの原生の森です。
落ち葉の降り積もった林床は、昨日までの雨でしっとりとしていて、暗紅色の小さな花が無数の散っています。
イヌガシです。「カシ」とはいうものの、クスノキ科の植物です。イヌ、カラス、スズメ等々、植物の名前にはよく動物の名前が付いています。イヌは「犬」と思って疑っていませんでしたが、「カシに非ず」「否(イナ)」から来ていると最近知りました。なるほど、なるほどです
「不伐の森」と言われるこの森は、古い箱根外輪山の南西に広がっています。
ブナやヒメシャラ、アカガシなど天城と同じような樹々に加えて、シイ、カシ、クスノキなどの照葉樹も多く混生しています。
大きなブナによくみられるコブのようなふくらみは「アガリコ」と言います。幹が折れたり傷ついたりして、その痕を修復してできます。怪我をして直っていく過程でできるカサブタのようなものと考えていいでしょうか。
長く生き抜いてきた証のようなものです。
ケヤキの大木も多く、樹皮の模様が美しい。
樹齢700年と言われるアカガシも健在です。こちらは500年と言われるアカガシ。どっしりとした威容です。
寒い雨続きののちのやっと晴れ。林床にはスミレ一つも見つかりません。今年の春は遅いようですが、たっぷりと降った雨でこれから一気に芽吹いてくると思います。
それでも春一番の花たちをいくつか見つけました。
大好きなコチャルメルソウはやっと数本。
奇妙なパラボラアンテナのような花。何度見てもウキウキしますね。
ネコノメソウ3種。
ネコノメソウの中では珍しい白花のハナネコノメソウ。暗赤色の葯が愛らしい。
まだ蕾の状態。どちらかは同定できません。イワボタンの葯は黄色、ヨゴレネコノメソウの葯は暗赤色。花が開けば葯の色で見分けがつきます。
ヨゴレネコノメソウはイワボタンの変種と言われていますので、同じ仲間です。
こちらの2種は有毒。
バイケイソウはギボウシと、ハシリドコロはフキノトウと間違えられて、よく食中毒が起きるようです。間違えるかなあ…と疑問に思いますが、土から顔を出したばかりの時は間違えやすいようです。
やっと一輪。やっと蕾の花たち。
一輪だけ咲いていたカタクリの花。
ちょうど写真を撮っていた方とお話をしました。花好きはたいてい、情報交換をします。
あれこれ話をしているうちに、どうやら数年前に富士山の裾野でお会いして、ハコネランの話をした方と判明。
何という偶然。お互いびっくりしつつも、花好きの行くところはおおむね決まっているのだと納得しあいました。またどこかでお会いしそうです。
雨のおかげで、水辺の花や苔たちは生き生きとしています。
春は美しい。
3月22日(金)石仏の道
朝一番で歯医者さんに寄り、お天気も良いのでそのままひと歩きにやって来ました。
このところ寒い日が続き、桜の開花も足踏み状態のようです。もっとも熱海では一年の半分、何かしらの桜が咲いてはいますが。
アセビのトンネル、ハコネザサのアーチの向こうの東光寺から、朗々と声明が聞こえてきました。
確か、去年もそうでした。ちょうど春のお彼岸です。
お彼岸に東光寺に来ると、逝ってしまった人に会えるという言伝えが熱海にはあります。
いつも母を思い出しては、そちらの方が楽しいだろうからもう戻ってこなくていいよ、と親不孝娘はつぶやきます。
本堂がちょうど開かれていたので、厳しい闘病中の友の回復を祈って手を合わせました。良い時に来ることができました。
冷えているせいか、天城の山並み、伊豆七島が相模灘に美しく浮かびます。
春の花たちもまだまだ足踏み状態。
やっと咲き始めた花たちです。
3月14日(木)八丁池
いまだ冬木立の森も枝先は赤味を帯びてきて、少しずつ春めいて来ました。陽射しも強くなってきました。
1000mを越えるあたりには、雪が少し残っていますが、八丁池もたっぷり水を湛えて、あと少しすれば、水底にイモリの姿が見え始めます。
大ブナとヤシャビシャク。 芽吹き前です。
キハダの根元が軒並み鹿にかじられて、鮮やかな黄色の肌がむき出しになっていました。
キハダは漢方薬として知られていますし、黄染めの染料としても古くから使われてきました。
ムカゴネコノメソウでしょうか。毎年のことながら、ネコノメソウの仲間の同定は難しい。
林床に春一番に咲き始めるネコノメソウ。小さな小さな花ですが、春一番の陽射しにも似て、見つけるとうれしくなります。
アオフタバランも小さな双葉を出し始めています。
ミツマタは花盛りです。ぼんぼりのような花が下向きに咲いて、林床に点々とアラレを散らしたかのようです。