日本列島は、4つの大きなプレートがちょうどせめぎ合う上にあります。災害列島たる所以でもあります。
4つのうち、唯一フィリピン海プレート上にあるのが伊豆半島です。 およそ2000万年前の太平洋上の小さな火山島が、フィリピン海プレートに乗って北上し、本州に衝突して出来上がった伊豆半島。
なんだかまるで「ひょっこりひょうたん島」のようで、想像を搔き立ててくれます。 そして今なお、北へと本州を押し上げつつあります。
そんな伊豆に暮すようになってから、ずいぶんと月日が経ちました。 成り立ちの面白さ、独特の地層や伊豆半島固有の植物たち。
歩いて、歩いて、伊豆の自慢をしたいと思います。
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植物は類似した種が多く、
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5月15日(水)新緑・八丁池
久しぶりの八丁池。とりどりの色合いの若葉が萌え出る一番美しい時です。カッコーの鳴き声が響き、すでに夏も間近かのようです。
八丁池辺りには、咲き残るトウゴクミツバツツジが水面に映えて、カエルの鳴き声と水底にはアカハライモリの影。
命が満ち溢れる季節です。
下り八丁池歩道にあるヤマグルマ。
その枝の又に根付いたアマギシャクナゲが、ちょうど満開でした。こんな所に!と思いますが、むしろ競争相手がいなくて、住めば都なのかもしれません。
昨日までかなり雨が降ったので、密かに期待していました。
そして、期待どおりのウスヒラタケを見つけました。私の好きなキノコのNO.1です。秋が最盛期ですが、ウスヒラタケは春から秋にかけて息の長いキノコです。
今年の初物。美味しく頂きました。
5月10日(金)明神ケ岳
小田原駅を通ると、大雄山線の乗換案内があり、最乗寺に行くためだけに作られたような路線、知ってはいたものの訪れるのは初めてです。
敷地は広大で、見事な杉林が延々と続き大雄山最乗寺に着きます。境内から出発します。
初めてのコースはいつもドキドキ、ワクワクします。
見晴しのない見晴小屋を過ぎ、神明水の湧き出す辺りまで登って来ると、杉林に落葉広葉樹も混じり始めて、眺望も少しずつ開けてきます。
今日目指すのは明神ケ岳。箱根外輪山の中でただ一つ、登っていない山です。
外輪山の稜線に向かって真っすぐ尾根を登って行くのですが、かなり密に谷が刻まれて水も豊かに湧き出しているようです。
外輪山の稜線まで登ってきました。
目の前が噴気をあげる大涌谷。そのすぐ麓まで、旅館やホテル、別荘地などが迫っています。箱根火山はれっきとした活火山です。このような風景は日本中至る所で見られ、日本人は大きな被害をもたらすことを重々承知の上で、豊かな自然の恵みをもたらしてもくれる隣人と寄り添って暮らしてきたのだと、つくづくと改めて思う眺めです。
今日は風もなくお天気は最高。富士山の手前に見えるこんもりした山塊が金時山。明神ケ岳から金時山、その先へと外輪山の稜線はぐるりと続いていきます。一番奥には愛鷹の山並み。
南側に目を移せば駿河灘、三浦半島から房総半島まで見えていました。立ち去りがたい飛び切りの眺めでした。
やはり箱根にはハコネシラカネソウ。
ツルシロカネソウととてもよく似ていますが、葉のしわ、花弁の尖り具合で見分けがつきます。
ちなみに花弁に見える白いところは萼、花弁は雄しべの先端のように見える小さな黄色いところです。
下りはもう一つ隣、最乗寺の奥之院に続く尾根を辿ります。
トウゴクミツバツツジは終盤を迎えて、花の絨毯を贅沢に歩きます。
かつては身近でよく見られたと聞きますが、今では珍しくなりました。
これは地エビネと言われるシックな色合いのエビネですが、黄エビネは軒並み盗掘されたようです。これほどの群生を見かけるのは珍しい。
天城では一つ見つければ大喜びですが、何と、カイワレ大根なみにたくさん双葉を広げていて、びっくりしました。
マツが優勢の杉やヒノキ、広葉樹の混じる樹下でした。
最乗寺まで戻ってきました。
30を超える堂塔、創建から600年ほど、伐採を禁じられてきた杉の樹齢は400年から600年だそうです。
杉を守り、杉に守られてきた寺叢です。天狗伝説が伝わり、大下駄を祀っています。いつか山の帰りにではなく、ゆっくりと訪ねて来たいと思います。