1月19日(水) 十国峠
鉛色の雲が低く垂れこめて日差しはなく、寒中らしい一日です。 十国峠までの道も歩くとザクザクと霜柱の音がします。
残念ながら富士山は雲の中でしたが、そのかわり海の彼方、伊豆の島々が良く見えます。
伊豆大島、利島、新島、式根島も少し。
伊豆大島と利島の間のさらに遠くにはうっすらと三宅島も見えています。
空気が澄んで、天城の山並みもよく見えています。 今ではすっかり順々に山の名前がわかるようになり、すっかり伊豆っ子になりました。
駿河灘と田方平野に沼津アルプス。 隊列になって自衛隊機が富士演習場の方に飛んでいくのが随分と下の方に見えます。
何度この景色を眺めたことかわかりませんが、その都度見惚れてしまいます。
東光寺の閻魔様と奪衣婆様に新年の挨拶をしてきました。
枯れてなお風情あり。
冬姿の植物たちです。
リンドウ、ホトトギス、センブリはいずれもリンドウ科の植物で、種を飛ばした後の殻のみが残っています。よく似てはいますが少しずつ違います。 殻が3裂するのはホトトギスだけです。
アザミやハコネウツギの冬姿もなかなかですね。
そんな中、枯葉に埋もれ守られるようにしてフデリンドウの新芽を見つけました。
すでに小さな蕾も見えています。
帰り道。 見つけました。
まだ出始めで硬いけれども初物。
少しいただいてフキ味噌にすることにします。
1月13日(木) 幕山
やっと早咲きの紅梅がちらほら。
幕山の裾に広がる湯河原梅林は関東一円でも有名な梅園です。
満開の時はさぞやとは思いますが、人混みは苦手なのでいつも梅祭りの始まる前にやって来ます。 この清々しい初春の冷えた空気の中、枝先は赤味を帯びてポンポンにふくらんだ蕾をたわわに付けています。 気のせいか梅の香がするような。
以前、やはり梅の有名な土地に住んでいたことがあります。 実梅も有名でしたが、観梅も有名で全山梅の木が植えられてそれはそれは見事でした。
ところが10年ほど前でしたか、有効な対策のない国内初のウイルスが広がり、ほぼ全木伐採されたと聞きました。
すでに私はその土地を離れていましたが、淋しい思いでそのニュースを聞くとともに、多様性のない世界の危うさを見た思いがしました。
そんなことを思い返してこの梅林を眺めてみると、すでに老木が多く、自然林としてはあり得ない梅のみのこの見渡す限りの梅林の先行きが心配になってしまいました。
植物に罪はないとはいえ、梅林や桜並木、日本人好みの植物ばかりを植えて、どこかに無理があるように思えてなりません。 山奥を歩いていて舞い落ちてくる花弁に空を見上げてみれば大きなヤマザクラ。 こんなところに人知れず...と思い歩く。そんな植物の自然な佇まいが私は好きなのですが・・・。
今のコロナの流行もある意味同じかもしれません。
人間、生き物の一員として考え直すべき時と思いますが、すでにその時はとうに過ぎているのかもしれません。
幕山は急峻な山でジグザクと九十九折に登って行くと、真鶴半島や初島、伊豆大島、さらに登れば天城の山並みや利島も見えてきます。日の光に眩いばかりの景色です。
1時間余りで頂上に到着。 少々体重オーバーなのでちょうどよろしい。
そこら中に「クマ注意」の張り紙がありました。
以前には見られなかったことですが、伊豆で見つかった100年ぶりのクマの影響でしょうか。
見つかったクマは雄で、縄張りを求めて山伝いに伊豆までやって来るにはこの箱根、湯河原、十国峠を通って来たに間違いないわけです。
ゴンズイ:魚にもゴンズイというのがいまして、いずれも「役に立たない」といわれたことから名づけられたそうで、何とも気の毒。
散り残った紅葉がありました。
赤くなったゴンズイの葉はとてもきれいなのです。
人が愛でるようなカエデなどとは違って地味な紅葉ですが、よくよく見ると葉の輪郭がギザギザの鋸歯に沿って緑の一線でレースのように縁取られてづくづくきれいです。
コクサギ: 種がはじけ飛んだあとの殻が残っています。
小さくて地味な花からは想定外の大きな実になります。
1月4日(火) 八丁池
年の初め、やはり八丁池に来てみました。
キンキン冷えて風も強く、それだけに一段と空は青く冬枯れの森は美しい。
本谷川の瀬音を聞きながら一つ、二つ目のワサビ田を越えると、水の流れは消え真っ白な岩がゴロゴロ転がるばかりの涸沢となります。
パタリと水音の消えるこの涸沢が私には何とも神秘的に思われます。
さらに登って行けば、大地をピリピリと切り裂くように源頭部の沢筋が縦横に走っています。 水の姿は見えなくとも地中で人知れず山は水を集め、毛細血管のような細い水の道を作りながら少しずつ少しずつ大きな流れとなって川へと導いていきます。
八丁池は全面氷結していました。
いつだったか、やはり大きな丸い氷紋が美しい年がありました。 風のない日が続いておそらくは穏やかに凍っていったように思われました。
今日の水面には、ちょうど砂漠にできる風紋のように風にあおられたまま凍り付いたような模様ができています。 これもまた自然の成せる業ですね。
ちょうど居合わせたのは男性一人、女性一人に私。
3人とも単独行です。
お昼を先に終えて出発した男性がなんと氷の上を歩き始めました。
それを見ていた女性が「氷の上を歩くのが夢だった」というので二人で近くまで見に行っていろいろ男性に尋ねました。
毎年歩いているそうです。
このところの暖冬で今日も真ん中あたりまで行ったらミシミシいうので帰って来たものの、以前は横断していたそうな。
夢だったという女性も3人いれば安心ということもあり、歩き始めました。
二人とも軽アイゼンを持っていましたが、私は残念ながら持っていなかったので断念。
歩くことはできませんでしたが、撮影係を担当。 いろんな人がいますね。
男性は下田、女性は伊東の方でした。いいめぐり逢いでした。
何だかまたどこかでばったり再会しそうです。
オニシバリ:早くも咲き始めた花を陽だまりで見つけました。
別名・ナツボウズの名のとおり、冬には反対に葉が青々と茂っています。
同じ仲間のジンチョウゲほどではありませんが、爽やかの香りが冬枯れの森でアッと思うことがあります。
12月22日(水) 涸沢歩道
天城山を歩くルートは天城高原ゴルフ場からの周回シャクナゲコースが一般的ですが、反時計回りに歩くとちょうど万三郎岳に登る急な木道が始まるあたりに涸沢分岐という標柱があります。
分岐と言うからにはどこかに続く道があるはず。かねてより一度歩いてみたいと思っていた涸沢歩道を歩いてみました。
萬城の滝の奥へと遡りコビサワラ原生林を通り過ぎて林道を進んで行くと涸沢歩道の入口がありました。
マイナーなルートですが、落ち葉が足にやさしく、分かりやすいとても良い歩道でした。
天城山の北側から登るので至る所で富士山を垣間見ることができます。
伊豆に住んでいるとどこに行っても富士山がどこかに見えるというのはやっぱり贅沢。 ほんの頭の端切れが見えただけでも見えた!と叫ぶ。やはり特別な山。
今日は冬至です。山の影も一段と濃いような気がしますが、明日からは日一日と陽の光が増していきます。
この頃はクマ避けの鈴が必携となりました。 伊豆にいないとされてきたツキノワグマとヒル。 ところがつい最近、西伊豆で100年ぶりにイノシシのワナにクマがかかったのです。山奥に放たれたそうです。
あちこちで目撃情報や爪痕などの痕跡らしきものが確認されているようです。
しばらく前にも伊豆山でクマらしき動物の目撃情報があったのですが、伊豆にクマはいないよと誰もが笑い飛ばしました。 友人の知り合いも天城ですれ違った人がクマを見たと言ったのを笑い飛ばしたそうですが、笑えなくなりました。
山は続いているし富士山から箱根や愛鷹をたどって伊豆にやってきたとしても少しも不思議はありません。相手もこちらに出会いたくないでしょうから過度に恐れず、こちらの存在をアピールしつつ歩くしかありません。
菅引歩道まで出てなだらかな尾根をコビサワラ原生林まで下ってきました。
とても快適なコースでした。
12月16日(木) 三筋山歩道
細野高原の麓から三筋山まで一面のススキの原が続き、山頂も見えるのでさほどの距離を感じないのですが、のんびり登って行くと意外にも時間がかかります。
予定では三筋山から八丁池へと続く尾根道の先、東の猿山まで行くつもりでしたが・・・三筋山山頂に到着した時点で東の猿山まではまだ相当な距離を残していたため、お腹が空いた辺りで折り返すことに3人ともにすぐに同意。
最近は齢のせいか、はたまた柔軟になったせいか、トットと予定変更するのが得意となりました。
無粋な風車群はどうにも好きにはなれませんが、三筋山からの眺めは逸品です。
暖かな日のせいもあってか、水平線はずいぶん霞んではいるものの、伊豆七島が空と海の狭間にうっすらと浮かんでいるのが見えます。
三筋山から続く尾根道、といっても今ではほとんどが風車のために舗装された作業道に変わってしまっています。
昔を知る地元の人に聞くとこの尾根道は本当に美しい道だったとのこと。いかにも残念です。
830m地点まで行って降り積もったフカフカの落ち葉の上でお弁当を食べて、来た道を引き返してきました。
それでも思いのほか歩きました。 13km弱でした。
12月2日(木)
城山から発端丈山へ
昨日までの強風は止み、12月とは思えないほどの暖かな日。 まずは城山南壁を横目に山頂へ。
わずか標高342mの低山ながら登り口は26mなので、一気に登ります。
眼下には田方平野と狩野川が広がり自動車や人の姿まで見えます。
まるで下界が掌中にあるかのようです。 遠大な眺めもいいのですが、これもまた好きな景色です。
空は澄み渡り富士山もくっきりきれいです。
葛城山は人が多いので今日はパス。 発端丈山までやって来ました。
駿河灘の向こうに富士山、さらにその奥につらつらと白い南アルプスの山々。景色を独り占めしながらゆっくりお昼を食べてから益山寺へ。
大イチョウはかなり葉を落としてしまっていましたが、散り敷いた落ち葉で地面は黄金色に染まっています。
大イチョウほどではないもののもう一本大きなイチョウがあり、こちらは黄葉の盛りです。
お隣の大モミジは赤くなり始めたところでした。
毎年楽しみにしている秋の益山寺です。
ゆっくり石仏様の道を下り戻ってきました。
途中、電信柱の上にアオサギの巣を発見。 こんなところで・・・と思いましたが、すぐ近くに狩野川が流れ、棲むには良いのでしょう。 寄ってたかるカラスを果敢に追い払っておりました。
ヤブサンザシ: スグリ科スグリ属。 確かに葉を見るとヤシャビシャクによく似ています。
キッコウハグマ: どこでもほとんど花は終わっている時期ですが、いつも発端丈山に向かう斜面に必ず花盛りの一角があります。大好きな花の一つ、楽しみにしています。
11月24日(水) 万二郎岳
冬枯れの天城山も良いものなので今年も出かけて来ましたが・・・・。 昨日からの猛烈な風に根性なく早々と予定変更。 万三郎岳から万二郎岳のグルリ周遊を短縮し、北西風のとりわけ強いところを回避して馬の背に続く尾根を直登いたしました。
樹林帯なので風も相当に防いでくれます。
見上げるばかりのブナとヒメシャラが居並ぶ尾根はただただ清々しく、ところどころ葉を落とした梢の間から富士山が望めます。 美しい美しい天城の森です。
この尾根にはアマギシャクナゲもたくさん自生しています。
来年はここにアマギシャクナゲを見に来るのもいいですね。
馬の背に出れば南東側。 陽射しが暖かく東の足下には遠笠山と大室山。
その向こうは相模灘です。 房総半島までうっすら見えています。
南側には海に一直線に並ぶ伊豆七島。
上空にはこれもまた横一直線に並ぶ雲の列。なんだか珍しい雲です。強風と関係があるのでしょうか。
馬の背を下って登り返すと万二郎岳に到着です。 いつもならどんな季節でも多くの登山者がいるのですが、吹き飛ばされそうな強風のために一人もいません。
私たちも風を避けて南側の陽だまりでお昼にしました。 手袋を外した手は凍えそうです。
今年は暖かな日が続きましたが、すっかり冬になりました。
11月17日(水) 定点観察
夏から秋にかけてキノコ採りに夢中ですっかり怠っていた定点観察。 久しぶりに巡回してみました。
アオフタバランもジンバイソウもすでに姿を消し、地中で来年の準備に入っているようです。
こちらはヤシャビシャク。 今年は春の花も見逃してしまいました。 この時期にはもうすっかり葉を落としているものと思っていたところ、思いがげず黄金色に輝く黄葉。実もたくさんついているのが見えます。
ヤシャビシャクはブナの大木の高いところに着生するので見つけるのは至難の業。
ところがブナがすっかり葉を落とした冬姿になっているおかげで黄金色のヤシャビシャクが良く目立ちます。
植物は生き残るためにそれぞれがそれぞれの戦略を持っているようですが、ヤシャビシャクは寄生して栄養をもらっている訳でなく、ツル植物のように巻き付く土台を得て繁茂するわけでもなく、大きなブナの木の又のようなところにただ着生しています。
ここのヤシャビシャクの観察を始めたのは2018年。
その頃の写真と比べてみてもほとんど変わらない姿をしています。
大きく枝を伸ばすわけでもなくその場にちんまり、まるで誰かがそこに一塊ポンと置いたような感じです。 あまり欲張りではなさそうです。
もっともそんな場所には土はなく枯葉がたまったくらいのもので、大きくなれるほどの養分もないのでしょう。 それでもそんなところを選んできたのには何かしらの理由があるのでしょう。 何だか面白いヤツだなあ・・と思います。
しかし、一方でブナの森自体が消滅の恐れのある時、ヤシャビシャクの先行きもあまり明るくありません。
今日の天城の白砂天井は風もなく穏やかで、晩秋の陽に輝くばかりの紅葉や散り積もった落ち葉の中、ふらふら、ゆったり、散策を楽しみました。
思いがげずそんな中にヤシャビシャクの落ち葉を見つけました。
アッと思い近くのブナの木を見上げてみれば、見つけました。
ずいぶん高いところながら確かにヤシャビシャク。
ヤシャビシャクを見つけるには足元の落ち葉を見つける方が簡単なようです。
11月10日(水) 八丁池
見上げてはおお! 振り返ってはわあ! 落ち葉の絨毯を踏みしめてはむふふ・・どこもかしこも、まあまあ何という美しさでしょうか。
先回のスリリングな十二ケ岳も時にはいいけれど、天城の森はやっぱりいいね~~~~と言いながら今日は友人と二人、とりどりに色づく森をゆったり歩きながらゆるゆると八丁池まで登ってきました。
今日は風が強くて梢の先でビュウビュウ風が唸ってはいますが、その分空は真っ青。 色づく樹々の葉も青空に映えます。
富士山も山頂付近は暴風の様子で、雲も引きちぎれそうです。
秋の競演もこの風で終焉を迎えそうです。
寒さが増してくれば随分と少なくなるとはいえ、ついつい探してしまうキノコ。 形はキノコらしく、美味しそうにも見えますが、キノコの師匠に確認したところどうやらニガクリタケのようです。
死者も出たことのある猛毒菌です。つくづくキノコの世界は奥深いと思います。
久しぶりに外来者の入浴も可能になった河鹿の湯に立ち寄りました。 今のところ感染状況も相当落ち着いてはいますが、いつまた次の波がやって来るかもしれません。 それでもほとんど2年近く閉ざされていたので、再開は嬉しい限りです。
私はこの河鹿の湯と伊豆山の浜浴場が大好きです。 設備こそ古いものの昔から地元の人に親しまれてきた温泉場はきれいに手入れがされていて、なにより源泉直通のお湯は新鮮です。
11月4日(木)
富士山自然休養林
今年の夏から秋にかけてキノコ採りによく通いました。
ずっと下ばかり見て歩いていましたが、今日は上を見上げて歩きます。
お天気が良くても富士山の山頂まで見えるのはたいてい早朝のうちだけです。
ちょうど山頂付近を飛行機が尾を引いて飛んで行きました。
さぞかし絶景だったことと思います。
落葉樹はずいぶんと葉を落とし、ところどころ赤や黄色の色付いた樹々。
落ち葉を踏みながら歩くと、微かに落ち葉の甘い香りが立ち昇ってきます。この季節ならではの森の匂いです。
カラマツ帯に入ってきました。
青空であれば一層輝くばかりの黄金の森ですが、すっかり雲の中になってしまいました。
それでも靄に溶け込むような枝先もまた何とも言えぬ美しさです。地面まで黄金色に染まっています。
残念ながら山頂も宝永山も見えませんでしたが、かすかに二ツ塚は見えています。
今日は森の住人によく出会いました。
冬に入る前に腹ごしらえをしているのでしょうか。
樹々の遥か向こうからジッと見ている鹿、散り残る木の実を探して枝から枝へと飛び渡るリス。 どこからか知らぬ間にクマも見ているやもしれません。
もうすぐこの辺りも雪になることでしょう。
雪虫もチラチラ飛び始めていました。
また来れるのは来年の春ですね。
大きなミズナラの木の多くがカシノナガキクイムシの被害に遭っていました。
熱海では少し下火になった気がしますが、この辺り今年に入って増えたように思われ、気がかりです。
10月29日(金)
毛無山から十二ヶ岳
しばらく持ち越しになっていた毛無山から十二ケ岳の周回コース、日が短くなり過ぎないうちにと出かけてきました。
毛無山までは少し急なところはあるものの、色付き始めた雑木林の道は爽やかです。
ふり返ればドカンと富士山、森林限界まで草紅葉に染まっています。
足元には河口湖に西湖、登るにつれて彼方に山中湖の湖面が光っています。
2時間弱で毛無山に到着。
いつまでも眺めていたい景色とはこのこと。 少しお腹に入れてから十二ケ岳へ。
毛無山は1500m、十二ケ岳は1683m。 いずれも低山。 ところがです。
毛無山から十二ケ岳のさほど高低差のない尾根道がこんなに大変だとは思いませんでした。
私たち3人とも予習不足でありました。
一ヶ岳から始まって小さなピークごとに順々に十二ケ岳まで続き、岩場のロープ場や鎖場だらけのアップダウンの繰り返し。
最初のうちはまだしも徐々に険しさは増し、だんだんと近くに見えてくる十二ケ岳の尖り具合と言ったら・・・いったいあの斜面は登れるのかという思いになってきます。
最大の難所は十一ケ岳と十二ケ岳の間のコルにかかる吊り橋でした。「ひとりずつ渡れ!」との立て札。 ハイ、言われなくてもそうします。
これは大変怖かったです。
無事渡り終えてホッとする目の前に立ちはだかるほとんど垂直な岩場に垂れ下がる鎖とロープ。 怖いと言ったところで、どうしようと言ったところで帰れるわけもなく、登るしかありません。
3人とも無事に十二ケ岳に到着。 先着していた人たちとねぎらい会いました。
それぞれ見落としたピークがあり、私たちは七ケ岳と九ケ岳をチェックできませんでした。 もっともそれどころではないという状況でもありましたが。
すぐお隣には大きな岩の一本角を持つ鬼ケ岳がそびえています。
十二ケ岳で一緒だった若者は鬼ケ岳を回って下ると言っていましたが、鬼ケ岳も十二ケ岳と負けず劣らず厳しそう。
無事に着くことができたでしょうか。
私たちは桑留尾の下山道を下りてきました。
こちらも樹々のとりどりの紅葉黄葉、輝くばかりでした。
無事に帰れて何よりの十二ケ岳。
でも楽しかった。 でも、もうあのコースは一度で十二分。
10月24日(日) 十国峠
キノコのシーズンが終わり少々キノコロスに陥っています。
ふつうは日曜日は出かけないのですが、空は秋晴れ。
十国峠まで登ってみました。
富士山も、天城の山々も、海に浮かぶ島々も海も文句なし。
草原ではリンドウやセンブリが咲き始めました。 秋の深まりを感じさせてくれる花たちです。
同じリンドウ科の仲間でも深い青紫のリンドウに比べればずっと地味なセンブリは、大好きな花の一つでもあります。
民間薬として煮出して飲むと胃腸の弱い人には効くといいます。 千回煮出しても苦いからセンブリというそうな。 二日酔いを除いて胃腸の不具合を感じたことはいつのことか思い出せず、幸いお世話になることもなく過ごしています。
ウメバチソウもアシタカマツムシソウもそろそろ終わりの時期を迎え、ススキの穂波も随分と白くアワアワしてきました。
つい10日ほど前にはまだ夏日の日があったのに、このところ急に寒くなりました。違えることなく季節は巡ってきます。
ミゾホオズキに初めて出会いました。
何度同じところを訪れても必ず初めての花に出会います。
自然は豊かです。