9月28日(金)
束の間の晴れ
ともかく雨、雨、雨、おまけに台風で大きな被害も多かった9月でした。
週末にはまた台風がやって来るほんの束の間のお天気。
エイッと早起きして出かけてきました。
26日に初冠雪が確認された富士山を出がけに一枚。
馴染みの八丁池に向かう歩道から見上げれば、久しぶりの青空です。
八丁池まで来ると、さすがに台風の気配が感じられる空模様となってきました。
展望台から見える爪木崎や下田の海岸線は白波が立っています。
秋の訪れとともにキノコもたくさん出てきました。
キノコは苦手分野。
同定できなくても、見ているだけでも楽しい。
そんな中でも・・・
ドクツルタケ?:おそらく間違いないとは思います。
薄暗い林床にそれはそれは美しいまるで純白の妖精のようですが、実は美しいものには猛毒あり。 「死の天使」ともいわれるそうな・・・
ヤシャビシャク: 定点観察中。 一度見つけるコツがわかれば、結構目につくようになります。
ただ、たいていはプナの大木の上に着生するので、まじかに観察するのが難しい。
スグリ科なので実は食べられるそうです。
食べてみたいけれど手は届かず。
来週はもう10月。
そろそろ紅葉も始まり、青空の美しい季節がやって来ます。
9月18日(火) 金時山
物心がついて最初の知った山は、多くの人が金時山か富士山だったのではないかと思います。
それほどに有名な山です。
たいていは金時神社からの往復がメインコースのようですが、私は長尾峠を起点にぐるりと逆回りをしました。 案の定、長尾峠には私の車一台のみでした。
長尾峠から丸岳、乙女峠、長尾山と箱根外輪山の尾根を辿りながら金時山へ。
このところ雨続きの肌寒い日が続いていたものの、今日は一転、息も絶え絶えながら夏が戻ってきたような湿気の多い暑い日でした。
時々振り返って見れば、足元には芦ノ湖、左手には内輪山、右手に連なるのは私の歩いてきた外輪山の山並みです。
所々、相模灘と大瀬崎まで見えます。
お天気が良ければきっと素晴らしいでしょう。
金時山山頂: 富士山、箱根の山々の絶景スポットのはずですが・・・ 私の一番恐れていたのは渋谷程の混雑もあると聞いていたことでしたが、幸いにも10人余り。
皆一様に岩の上に座って、靄の晴れ間を待っているようでした。
なんだかガラパゴスのイグアナみたいで、ちょっと笑いました。
山頂の猫たち: 三毛がお母さんのようです。 キジトラ2匹はまだ1年にならないような子猫で、ちょうどななちゃんがわが家に来た頃のようです。
おにぎりを食べ始めた私のそばに来るものの、食べ物をねだる素振りもなく、ただ近くにきてくつろいでくれます。
私は猫のにおいがするのかも。きっと山小屋に居ついているのでしょう。
11時には下り始めましたが、金時神社側から続々と登ってくる人、人、人。 早めに着いて早めに降り始めて正解です。
皆、「あとどのくらいですか」と尋ねるので、あと5分、あと7分、あと10分、あと30分、と答えながら下りました。
金時山は急峻な山で、こちら側からの方が上りが一気できついようです。
大湧谷遠景: 仙石原を抜けて長尾峠まで登り返しましたが、金時山よりも最後のこの上りが一番きつかったです。
時々振り返って大涌谷の噴気を眺めながら一息。
中央が大涌谷、左は台ケ岳、右側には冠ケ岳と神山。
もう少し秋が深くなったら、もう一度景色を楽しみに再訪したいと思います。
猫たちにも再会したいし・・・
オヤマボクチ: ボクチとは火口(ホクチ)のこと。
昔、火をつけるのに使われたと聞いています。 アザミの仲間です。
友人が以前、蕎麦のつなぎに使われていたと話してくれたのを覚えています。
ナメコ?: 表面もヌメリがあり、生えていたのも桜の倒木。
9月6日(木)
箱根旧街道
出発地点の「道の駅・箱根峠」まではわが家から車で30分足らず。
言わずと知れた日本有数の温泉観光地ながら、じっくり歩いたこともその興味深い歴史も知りませんでした。
道路や別荘地などに途中寸断されながらも昔ながらの石畳の箱根旧街道が残っています。
雨が降るとひどいぬかるみになったために整備されたこの石畳は、ただ単に石を並べただけではないらしい。
二段構造になっていて、石畳の下に細かい石の層を作って水はけを図り、その上に大きな石を敷いたのだそうです。 両側にはやはり水はけ用の溝が切られてあります。 今、こんなものが作れるでしょうか。
屏風山に登ってから一気に下って甘酒茶屋。
創業400年の歴史を持つ有名な峠の茶屋です。
初めて来ました。
私は甘酒、友人は甘酒ミルク餅。
とても美味しかったです。
畑宿まで下って下り、再び登って登って飛龍の滝を目指します。
飛龍の滝近くの露頭: 垂直な柱状節理の露頭がそびえています。
なかなかの迫力でそびえ立っています。
飛龍の滝:
上段15m、下段25mあるそうですが、写真ではその迫力が伝わらなくて残念です。
こちらも柱状節理が美しい。
元箱根石仏群: 石仏や石塔の多くが作られた鎌倉後期には、この一帯は箱根越えの道のちょうどピークにあたり、恐らくはは火山活動の跡も生々しい荒漠とした景色が広がり、あちこちで噴気も上がっていたかもしれません。
そんな地獄を思わせる光景が地獄に落ちた人々を救って下さる地蔵菩薩への信仰に結びついたのは極自然な事だったようです。
摩崖仏のほとんどは地蔵菩薩です。
江戸時代になって、東海道の整備が進み箱根越えの道も変わります。
火山活動も安定し人々が湯治に訪れるようになると、浄瑠璃や歌舞伎で有名になった「曽我兄弟の仇討」の所縁の地としても観光名所となっていったようです。
と、この辺りは少し調べてみた受け売りです。
とりわけ鎌倉時代、自然と人間と信仰が深く結びついていたことを思うと、私を含め今の時代に生きる人たちが当時の人たちより幸せかどうかふと考えてしまいます。
失くしてしまった豊かな精神世界があったように感じます。
再び旧街道の石畳を歩き、箱根の関所、杉並木を通って箱根峠にたどり着きました。
アップダウンが多くて、苔生した石畳はかなり歩くのに気を使い、歩きごたえのある箱根旧街道でした。
それにしても、箱根も外国人観光客の多いこと! 日本人は少数派です。
8月27日(月) 天城の瞳
「天城の瞳」の名に恥じない今日の八丁池です。
南アルプスの峰々もズラズラズラっと並んで富士山の脇を固めています。
下界は相変わらずの酷暑のようですが、ここは爽やかな秋の気配です。
下り御幸歩道: 今日も逆回りで、左手に白砂天井を見る形で初めて下り御幸歩道を登ってみました。
ブナとヒメシャラの林が続きます。
奇妙な樹形はたいていヤマグルマです。
トンボソウの仲間: トンボソウにもいろいろあって、個体差なのか、生育場所なのか、かなり小さい。
道すがらいくつも見かけました。
クモキリソウ: 定点観察を始めて3か月近く待ち、やっと花に巡り合ったのは前回来た時でした。
早くも花は終盤です。
また来年。
オトギリソウ: 富士山の南麓でたくさん見かけましたが、天城では初めて気づきました。
8月20日(金) 今日も八丁池
11月になると山歩きを始めて丸4年になります。
今日は21回目の八丁池です。
初めていつもとは逆回りに歩いてみましたら、ずいぶんと景色が違って見えたのが不思議です。
下り八丁池歩道はいつも上から見下ろしながら下っていますが、見上げながら登りますと、ブナもより一層の大きさで迫ってくるようです。
まるで初めて歩くような感覚でした。
今日の八丁池です。
視界ゼロ。 果てしのないような、こんな風景も悪くありません。
枯木に綿あめの花が咲いたようなのは霧の雫を溜めたクモの巣です。
思わず立ち止まって見とれてしまいました。
今日の収穫は何と言ってもラン3種。
アオフタバラン: 双葉に白い縦の筋。 花の芯弁が長いのが特徴です。
クモキリソウ: 定点観察中。
やっと花を見ることができました。
大満足。
ミヤマウズラ: 天城で出会うとは思ってはいませんでしたが、わが家の裏にも自生しているの、すぐわかりました。
ピンポケで残念。
熱海に引っ越して一番驚いたのは、小さなわが家の裏の斜面に自生ランを5種類見つけたことでした。
日本の自生ランは地味で小さなものが多くて、ほんの数株集まっていることが多く、少し環境が変れば一気になくなってしまいます。
大切にしたいと思います。
夏は暑いけれど、自生ランに会うには一番の季節です。
8月10日(金) 八丁池
とても珍しい植物に出会いました。
パッと見、キノコの類のようですが、親指の先ほどのツクシのような頭の下に萼片のようなものがあります。
腐生植物かと思って調べたところ、カエデ科やイヌシデの根から養分を摂る寄生植物で絶滅危惧種Ⅱ類「ミヤマツチトリモチ」とわかりました。
なるほど。 確かにその辺りはウリハダカエデやチドリノキの多いところです。
萼片のように見えるのは鱗片状の葉。
これは雌花で雄花は未だ発見されていないという、なんとも不思議で変わった植物。
さらには双子葉植物なので発芽すれば双葉が出るということ?
とても信じがたく、この猛暑の中ここまで来た甲斐あり!
定点観測中の「クモキリソウ」。
6月14日に花穂を確認し7月13日にはずいぶんと花穂も伸びていましたので、そろそろ咲いているかと期待していましたがまだ蕾です。あともう少しです。
いつも立ち寄る「河鹿の湯」も今日は貸切り状態です。
地域で長く守られてきた共同浴場は古いけれどきれいに掃除が行き届き、大型の日帰り入浴施設では味わえない良さがあります。
ともかくお湯が新鮮です。
天城の森を歩くのはもちろん好きですが、この温泉とわさびソフトの3点セットが何よりの魅力です。
いくら山でも、伊豆の低山暑いです。
こんな時にこんな所にやって来る人は稀で、会ったのは人間2人に鹿一匹。
でも、お盆休みが明けたら、もう一度ミヤマツチトリモチとクモキリソウを見に来ようと思います。
8月3日(金)
富士山南麓(その2)
今日は御殿場口新五合目から出発です。
幕岩まで等高線に沿った平坦な樹林帯が続きます。
気持ちいいですね、下界の酷暑が嘘のようです。
幕岩: その名のとおり天幕のような溶岩が立ちはだかっています。
最下部はおよそ1万年前の噴火の溶岩で、その上に一番最近では1707年の宝永噴火のスコリアが累々と積み重なり、一万年の噴火の断面を見ることができます。
三辻: 今日も富士山、靄の中です。
三辻から小天狗塚、御殿庭、御殿庭上へと高度を上げるにつれ風景も変わっていきます。
森林限界の砂礫地は厳しい自然の中でやっと根を下ろした植物たちをなぎ倒して崩壊が進んでいます。
御殿庭上まで来ると片側にたなびいたようなカラマツの旗状樹形が風の強さを物語ります。
ここからは宝永山や富士山頂が見えるはずなのですが・・・・本日は御殿庭上で折り返します。
三辻から四辻、二ツ塚のあたりはフジアザミやオンタデ、メイゲツソウの群落がちょうど盛りの時でしょうか。
先週来た時はまだ固い蕾ばかりだったフジアザミがずいぶんと大きくなってボツボツ咲き始めています。
トゲトゲで逞しくてしかも美しい。
この先は見渡す限りの砂礫地が広がり、ザザザッーーーーとアッと言う間に滑り下って御殿場口です。
夏はどうしても視界が悪いので、秋になったらまた来るとしましょう。