日本列島は、4つの大きなプレートがちょうどせめぎ合う上にあります。災害列島たる所以でもあります。
4つのうち、唯一フィリピン海プレート上にあるのが伊豆半島です。 およそ2000万年前の太平洋上の小さな火山島が、フィリピン海プレートに乗って北上し、本州に衝突して出来上がった伊豆半島。
なんだかまるで「ひょっこりひょうたん島」のようで、想像を搔き立ててくれます。 そして今なお、北へと本州を押し上げつつあります。
そんな伊豆に暮すようになってから、ずいぶんと月日が経ちました。 成り立ちの面白さ、独特の地層や伊豆半島固有の植物たち。
歩いて、歩いて、伊豆の自慢をしたいと思います。
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植物は類似した種が多く、
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NEW!
11月7日(木)丹野平
一度は行ってみたいと思っていた丹野平。伊豆の中でも最も山深い集落の南側にあり、アクセスするならば、西伊豆側から林道を延々辿れば、すぐ近くまでは行けることは知っていました。
私の地図読みの先生でもある友人は、河津側から猿山の麓を通って尾根に乗り、丹野平まで行くという。
かなりのロングコース、小さいながらアップダウンを繰り返す尾根道はなかなかにハードで、ヒーハー言いながらついていきました。
何年くらい生きているのでしょう。久しぶり、猿山の大杉の脇を抜けていきます。
丹野平の麓に着いた時はちょうどお昼ごろ。
以前、ここまで来て時間切れで登頂を諦めた友人は「今日こそリベンジ!」と喜々として、山頂目指してを登って行きます。
麓からの標高差はわずか50~60mとはいえ、下から見上げると、そそり立つ巨大な山塊に見えてしまいます。私も何とか頂上へ。
へこたれそうになったけれども、登ってきて良かった!
平らな山頂はグルリ、360度眺めが素晴らしい。今日は雲がくれでしたが、富士山も見えると思います。
日本狼終焉の地と言われているようです。
伊豆半島の中でも古い地層にあたるこの付近は、かつての海が隆起したところ。ゴロゴロ転がる海底の岩に立って狼が遠吠えしたとかしないとか、そんな話が言い伝えられているそうです。
伊豆にはいないとされてきたツキノワグマが、数年前ワナにかかったのは確か西伊豆のこの近く。ひょっとして日本狼も生き永らえているかもしれません。
山頂の花たち。
しっかり腹ごしらえして、帰路も長い道が待っています。
覚悟はしていたものの、登山口に着く頃には暗くなり、初めてヘッデンを付けました。一度は経験しておきたかったので、良い機会でした。
登山口から林道に出た頃には真っ暗で、林道の先にようやく車の影が見えたところで、見事に大転倒。夜間外来に連れて行ってもらい、傷口は医療用ボンドで張り合わせてもらいました。
今回は、コースが長いので早く出発しようと6:00出発の予定でしたが、私の忘れ物のせいで30分遅くなりました。30分早く出発していたら、まだ明るさの残るうちにたどり着いていたことと思います。それにヘッデンも初めてで、年齢による夜間の視界の認識が落ちていることもあったと思います。さらには、車が見えて、ホッとして一気に気が緩んだのでしょう。
山では小さな不都合が重なって、大きな事故につながるということを、今回思い知りました。こんな時は、常にも増して注意を怠らないようにしなければいけないと思います。これで済んで幸いでしたし、ちょっと痛い思いをした良い教訓です。
心配をかけてしまった友人には本当にありがとう、ごめんなさい。でもまた復活するので、一緒に山を歩きましょう。
11月5日(火)感謝デー
今年も一年お世話になったキノコの師匠ご夫妻。友人がお礼の鍋をしようと、一式担いで来てくれました。
曇りがちな一日でしたが、風もなく穏やかな八丁池の畔、鍋いっぱいのトン汁です。こんなに食べられるかと思いきや、何と締めのうどんも全てペロリ完食でした。
歩いてここまで登ってきて、お腹ペコペコ、熱々のトン汁の何と美味しいことでしょうか。師匠に感謝、友人にも感謝、たらふくいただきました、ごちそうさま。
葉を落とし始めた樹々の彼方、まるで異世界にそびえ立つかのような富士山の姿。
帰路は美しいブナとヒメシャラの森をゆったりと。晩秋のキノコもポツポツ残って楽しませてもらいました。
10月31日(木)また来年
明日はもう11月。ようやく朝晩冷えるようになってきましたが、今日もまだ暖かで穏やかな日です。
同行4人、数えきれないほどここに来ているのに、異口同音に「いい森だなあ…」と思わず口を突く。ただその中に立っているだけで豊かな気持ちになります。
白いキノコ3種。
特に雨上がりのブナの倒木や朽木には、よく見つけることができます。
白く透き通る儚げなキノコで、食べ応えはないものの、ツルリ、トロリとした食感は汁物にするととても美味しいです。
こちらはブナの森の女王様、ブナシメジ。カサが10㎝程もある立派なものでした。真ん中あたりに現れる特徴的な大理石模様が美しい。
栽培物がスーパーで出回っていますが、味は全く別物です。女王様はなかなか見つけられないのでありますよ・・・
見つけた時の嬉しさは格別です。
スギやヒノキの植林地帯の切り株には、貝殻が折り重なったような真っ白なキノコがビッシリと付いています。
北陸や東北では昔からよく食べられてきたそうで、腎機能に問題のある人に重大な食中毒を起こすことは良く知られてきたようです。
ところが問題のない人の中にも急性脳症を発症して死亡する事例が多くなり、有毒キノコと注意喚起が出されました。
いまだにはっきりと毒成分の確定には至っていないようですが、自然界にはそんなことは山ほどあって、人間の知りうることなどタカが知れているということだと思います。
今、美味しい美味しいと言って食べているキノコも有毒キノコとなることは十分あり得ますし、事実そんな事例は多くあります。図鑑でも一方は食菌、一方は有毒と分かれていたりもします。それほどにキノコの世界はまだ未解明、ということでしょう。
猛毒ドクツルタケもその白さは眼を見張るものがあります。同じ白いキノコでも有毒なキノコの白はおどろおどろしく見え、美味しいキノコは美味しそうな白さに感じるのは面白いことだと思います。
先週爆生していたナラタケを見て回りましたが、もう崩れ始めて、土に帰ろうという状態でした。発生から消失まで1週間です。
クリタケのスポットを再訪してみたところ、近くの木の根元に幾つかクリタケの一群を見つけました。晩秋の可愛らしい美味しいキノコです。
今年のキノコシーズンも本日をもって終了。楽しませてもらったキノコと森に感謝です。また来年楽しみに待っています。それまで、十分英気を養って下さい。
10月24日(木)秋の森の
3日前に見つけた蕾状態のナラタケが、3日間でどれくらい育っているか確かめたくて、今日も偵察にやって来ました。
こちらが3日前。
きれいな幼菌で一番おいしい時。周りの木や土の色に同化して見つけにくい。
こちらは今日。
3日で立派な成菌になりました。当然幼菌よりも大きくなり、色も明るい色になり、森の中で花が咲いたように目立ちます。
ナラタケは足の速いキノコで、数日で発生して消え失せると聞いています。なるほど見て納得です。おそらく明日にはなくなっているでしょう。
今日はあちらにもこちらにもナラタケの爆生状態で、立ち枯れの木に這い登りながらも、登り切れずに地面まで広がったような見事な状態でした。
ムキタケも最盛期。クリタケは成菌から老菌になり始めて、秋のキノコの季節も最終版です。
豊かな森の豊かな贈り物、一日楽しく遊ばせてもらいました。
3日前には緑色だったカエデが色づいてきました。今日も夏日の暑い日でしたが、森には一気に秋がやって来ます。
10月21日(月)再びの八丁池
友人を誘って、キノコ偵察がてら八丁池へ。昨日の雨で少し気温も下がり、風もあり、歩いていないと結構寒い日です。とはいえ、暑過ぎたこの夏に比べればの話で、例年よりは高い気温のようです。
八丁池のほとりで、ツエルトを立てる練習をしました。
動画でイメージトレーニングをし、ロープの結び方も練習をしましたが、実地は初めてです。
友人にアドバイスをもらいながら何とか建てられました。大満足です。
万が一のビバークに備えて、いつも持ってはいたものの立て方知らずでは、万一の時はさらに心細いことと思います。できるに越したことはありません。
今日はいつもと違う遠回りをして登ってきました。
菌影うすいなあ・・・と思っていたところ、何と出始めのナラタケの一群に遭遇。まだ幼菌のとても良い状態で、採り切れないほどでした。
さらに他のところでも、立ち枯れの木から吹き出すように頭を出すナラタケの一群に出会いました。
今年はナラタケの群生を見せてあげたいと思っていたのでホント良かった!
クリタケにも遭遇。地域によっては珍しいキノコではありませんが、ここでは結構レア。美しいキノコですね。おまけに美味しく、言うことなしです。
ムキタケも大きくなり始めて、キノコの季節も最終盤が近づいてきました。
豊かなブナの森が育む豊かなキノコたち。いつまでも楽しませてくれることを願っています。
キッコウハグマの花が咲き始めて、晩秋の気配です。
10月16日(水)八丁池
久しぶりに水生地歩道を登ってきました。
本谷川の源流に沿ってスギやヒノキの植林地帯が続く道が、ワサビ田を二つ越え、広葉樹が混じり始めると、川音がパタリと途絶える涸沢となります。ゴロゴロの石の転がる何の変哲もない源流部なのですが、水が地中に潜り、森の静けさが一気に訪れるこの場所が何とも言えず私は好きです。
長らく伊豆半島にはいないと言われていたツキノワグマが、数年前にワナにかかってから、クマよけの鈴をつけるようになりましたが、自分の鈴の音が煩わしくて、静かな森を楽しめなくなり、とても残念に思っていました。
最近、特に一人で歩く時は、周りの様子をよく見ることと、見通しが悪い曲がり角のようなところではホイッスルを吹くことにして、折り合いをつけています。バッタリを避けるためには先に見つけることと、予め警告しておくことは心掛けようと思います。
下り坂の予報の出ていた八丁池は一気に靄が降りてきました。
10月も半ばというのに、今日も暑い日です。こんな気温では晩秋のキノコは出て来ません。
富士山麓のカノシタはオレンジ色がかったものしか見たことがありませんが、ここではシロカノシタしか見かけません。
シロカノシタの方が大振りで厚みもあり、大きくなるといびつな形になります。
フランスでpied de mouton=羊の足と言われて人気があるのはシロカノシタのようです。 列を作って一帯に並んでいます。
力が衰えたり、立ち枯れたりしたブナにビッシリ着くツリガネタケ。
名前どおり「釣鐘」の形をしており、年々年輪を重ねて大きくカチカチになっていきます。
ヨーロッパでは大昔、火打石の火口に使われていたと言います。アルプスで見つかった5000年前の「アイスマン」が持っていたのもツリガネタケの仲間だそうな。面白いですね。
いろんな植物が這い上ったり、着生したり、本体の木は一体何だろうか・・・どうやらカツラの木ののようです
黒い実がついています。
タンナサワフタギとサワフタギ。二つ並べて見比べれば、花や葉で同定できるかもしれませんが、片方だけだと難しいのです。
ところが、実を見れば明快。黒い実が付くのがタンナサワフタギ、青紫色の実を付けるのはサワフタギです。初めて実を確認できて、スッキリしました。
キノコは今一つでしたが、もう少し寒くなるのを待つとしましょう
10月10日(木)自主練その3
秋晴れとはこのことをいうのでしょう。青い空、蒼い富士山、文句なしです。先週まで夏日があった今年の初雪の便りは遅いようです。
登山口から10mも歩かないうちに、あちらにもこちらにもナラタケが。今日、師匠は富士山の反対側でマツタケ採りをしているはず。ナラタケ大好きな師匠に見せてあげたかった。
帰路に回収しようと思い、そのまま森の中に進むと、立ち枯れの古木に地面から5m程も這い上るナラタケの一群に遭遇。見事でした。ここだけでカゴは満杯となりました。
ナラタケは数日で発生して消えていく足の速いキノコ、ちょうど良い状態の時に出会えるのはほとんど偶然かもしれません。
晩秋を告げる美味しいキノコたちです。
サンゴハリタケの大ぶりのものも4株ほど見つけ、ホクホクです。今年はタマゴタケの当たり年のようで、今日も2本見つけました。
見上げてみると、ほんのかすかに色づき始めた森は、まだ夏の終わりのような感じです。
今年の富士山麓のキノコ探索も、そろそろ終わりが近づいてきました。
10月2日(水)八丁池
久しぶりの八丁池です。友人とキノコ偵察を兼ねて、寄り道だらけをしながらここまでやって来ました。
10月に入っても夏日の予報が出ており、天城の森もまだ夏模様です。それでもアケボノソウの花が咲いて、やっぱり秋は来ています。
朝の最初の太陽一筋の光に、飛び立つ鳥の群れを思わせる。美しい花です。
ブナ帯のキノコは、もう少し気温が下ってこないと、なかなか姿を現しませんが、倒木にも立ち枯れの木にもワンサカ生えているのはツキヨタケ。その勢力たるや目を見張るものがあります。
私の好きなキノコNO.1 ウスヒラタケがあちこちブナの倒木に出始めていました。
折り重なるように生え、春から秋にかけて何度か同じところに出ます。
薄くて頼りなげなキノコですが、独特のシャッキリとした歯ごたえは、汁物はもちろん、パスタと和えれば、違った食感が楽しめて、毎度「おお!」とニンマリしています。
初めて実物に遭遇。かなりがっしり太いですね。触っても炎症を起こし、食べれば死亡例も発生している猛毒キノコです。
話に違わぬ奇妙な姿、食べてみようと思う人がいるということの方が奇妙。
これから移り行く美しい季節、今度来るときには樹々も色付き始めていることと思います。またセッセと登って来たいと思います。
9月30日(月)今日のキノコ
今日で9月も終わり、暑い暑い長い長い夏も今日で終わってほしいものです。
森はまだまだ秋の気配はありません。これだけ暑い日が続くと、地面の温度も下がらず、菌界にも大いに影響するのではないでしょうか。
ところが、今年はマツタケの当たり年と聞いていますし、ホウキタケも今年はとても豊かでした。地下の世界はどうなっているのでしょう。
さて、今日の菌影。
両掌の程の見事なサンゴハリタケを見つけました。幼菌もあちこちで見かけましたので、来週あたりは大きくなっているでしょうか。サンゴハリタケが出てくればやはり秋です。
放射状にきれいに上品に点々を並べたヌメリスギタケ。美味しいキノコです。
初お目見え。スーパーに並んでいるエノキタケとはとても同じキノコとは思えません。
師匠から特徴を説明してもらいました。よくよく見ると柄にはビロード状に微毛が密生しています。
今度出会った時にきちんと見分けられるでしょうか。
あまりに立派な株なので思わず写真を撮りました。
すでに成菌の状態を過ぎて、かなり色が抜けていますが、幼菌の頃はオレンジ色が美しく、柔らかい状態の時は食べられるようです。
一日中靄がかかるお天気でしたが、下山したらようやく二ツ塚が見え始めました。
9月26日(木)富士山麓
6時19分登山口到着。文句なしの晴天で富士山はてっぺんまで点々と山小屋が見えます。カラマツが色づき始めて、美しい季節です。
一方、下界は雲下、雨が結構降ったので、ほどなく一気に靄が上がってきて、森も霧に包まれてきました。
いつもは2000mから、キノコを探しながら登って行くのですが、今日は新五合目まで一気に登ってから、下っていくことにしました。
秋の深まりとともにキノコもどんどん移り変わっていきます。2300m辺りで、秋の代表の一つ、キヌメリガサに出会いましたが、やっと一本。まだまだこれからのようです。
ナラタケがたくさん出ていました。秋も本番。オニナラタケのようです。
こちらは秋の代表のひとつ。
カサの縁に残る糸くず状の点々が見分けの一つの要素です。美味しいキノコです。
苔に埋もれて頭だけ出していたキノコ。パッと見、ハナイグチかと思いましたが、かなり赤みが強く、抜いてみれば見たことのないキノコ。
ピンボケが残念ですが、特徴は良く分かります。
麓の山小屋に戻って、キノコ談議をしている時に、詳しい方がアカネアミアシイグチと教えてくれました。
帰宅後調べてみましたら、2011年に新種登録された希少種のようです。カサ裏の紅はアメリカウラベニイロガワリやバライロウラベニイロガワリ程の毒々しい赤ではなく、名前どおりの茜色。特徴的なのはその柄の網目模様で、明らかにアメリカともバライロとも違います。
青変すると書いてあったり、青変しないと書いてあったりでしたが、私の見た個体は青変しませんでした。食毒不明、まだまだ分からないことだらけの新人といったところです。希少なキノコ、お目にかかれて嬉しいです。
今日は菌影が薄かったのですが、山小屋でお会いした方2組、マツタケをゲットされておりました。1本はカサが開いて両手の平からはみ出すほどの大きさで、久しぶりにマツタケの香りをかがせてもらいました。私たちも狙ってはいたのですが、残念でした。
本日の収穫は、タマゴタケ、ハナイグチ、キノボリイグチ、キヌメリカサ、オニナラタケ、チャナメツムタケ、クリフウセンタケ、ホウキタケ、カワムラフウセンタケ、ツバアブラシメジ。こんなところです。
富士山のキノコも終盤が近づいてきています。