7月31日(水)八丁池
昨年より1ヶ月ほど遅い梅雨明け。
明けなければ明けないで文句を言い、明ければ明けたで文句を言う。
いきなりガツンと暑くなりました。
長雨の影響か山は水分たっぷりで、湿度100%の靄の中、下界はきっとカンカン照りだろうと思いつつの山歩きとなりました。
八丁池は生き物のように動く靄に包まれて姿を見せたり隠れたり。
これはこれで風情良し。
露を集めた蜘蛛の巣は花が咲いたようです。
普通によく見かける放射状の幾何学模様のような蜘蛛の巣ではなく、円錐型をしていて、糸をランダムに張っているようです。
巣の底に小さなクモ。 なんというクモなのでしょうか。
ギンリョウソウとクモキリソウ: 定点観察中のクモキリソウの小群落の中にギンリョウソウ。
ギンリョウソウの実: 実を見るのは初めてです。
実も変わってますね。
アオフタバラン: 花芽が随分と伸びてきました。
おまけの梅雨明け来客。
久しぶりに大きなクワガタを見ました。7〜8cmはあったでしょうか。
きっと梅雨明けを待っていたのでしょう。
7月24日 (水)
みたび植物観察
クサアジサイの花をどうしても見たくて、みたび植物観察にやって来ました。
小さな集合花は大きくてせいぜい2〜3㎝でしょうか。 これまでに見たことがあったかもしれませんが、注意をしていないと見過ごすでしょう。
5個の丸い萼片の中にたくさんの雄しべのあるのが両性花、3〜4片の萼を持つ装飾花が中性花です。
他のアジサイとの大きな違いは葉が互生であること。湯河原に下る沢沿いの山道に咲いていました!
よく見ると何てステキ!
前回の観察から10日足らずで、咲く花々も移り変わっています。
ナツノタムラソウ: 厄介なことにアキノタムラソウというのもあって、見た目はそっくり。
名前の違いのように咲く時期が違えば分かりやすいのでしょうが、ほぼ同じ時期なのがさらに厄介。
いつかは決着を付けねばと、じっくり観察しました。
大きな違いは雄しべにあるようです。
ナツノタムラソウの雄しべは真っ直ぐ伸びて花冠から突き出すのですが、アキノタムラソウは花冠からほとんど出ず下側に曲がるとのこと。
ハイ、元気よく雄しべが真っ直ぐ飛び出しています。
ナンバンギセル: 満開。ススキやミョウガの根に寄生する植物。
ネジバナ: この花も部分的菌従属栄養植物なのだそうです。最近知りました。
これまで腐生植物と呼ばれていた植物群は、どうしてもギンリョウソウのように葉緑素を持たない一種異様な姿をしているイメージを持っていましたので、明るい芝地でよく見かけるこの小さなランとは結びつきませんでした。
コガンピ: 花芽が付き始めましたね。
キレハオトコヨモギ: 身近でよく見かけるヨモギと少し切れ込みが違います。
オトギリソウ; 2種確認。一つは黒点が見られることと、葉が茎を抱くことでオトギリソウと分かります。 もう一つは少し微妙。
シダ類: 食べ物や生活に身近なワラビ、ゼンマイ、ウラジロくらいしか判別できない情けない状態。 せめてひとつずつでも覚えようとトライしてみました。 葉の付き方、胞子嚢の形、ポイントはいくつかあるようですが・・・・お手上げです。
石仏の道はカンカン照りで、ようやく梅雨明けも近いようです。
未同定: アリノトウグサと判明
シロバナウツボグサ: 通常は紫。白花を見たのは初めてです。
ナンバンギセル: まだ蕾の状態でしたが、ススキのに根元、そこかしこに生えていました。
どういう訳か、この花を見ると秋だなあと感じますが、まだ梅雨さえ明けていません。
ノギラン: 初お目見え
コクラン
7月13日(土)
河津七滝
毎年恒例暑い季節の納涼コース、河津七滝の滝めぐりにやって来ました。
天城峠から旧天城隧道を通り抜けて二階滝、平滑ノ滝へと歩いて行きます。
川沿いに踊り子歩道を辿り、宗太郎園地の杉林を抜ければ、河津七滝の入口「猿田淵」に着きます。
順々に釜滝、エビ滝、蛇滝、初景滝、かに滝、出合滝、大滝へと下っていきます。
今年は梅雨寒の日が続き今だ梅雨が明けませんが、雨が上がっていれば湿気たっぷりの水辺はじっとり蒸し暑く、やっぱり爽やかです。
ツチアケビの花: 今日も初お目見えに遭遇。
写真でしか見たことのなかった花。
腐生植物のひとつです。
現在では、よりその性状を表すように「菌従属栄養植物」と呼び改められつつあるそうです。
何もない朽葉の間から、いきなり、唐突に、にょっきりと、花が咲く姿。
まあ、まあ・・・・見れば見るほど、奇妙で異様で美しい。
多分私は日がな一日でも眺めて過ごせると思います。
サンショウウオ? イモリ?: 岩場の水辺にいました。
どちらでしょうか?
オタマジャクシのようなチビッコもたくさんいました。
7月8日(月) 植物観察
今日の初お目見え。
まずはコクランです。
先週真鶴で見つけられなかったので来てみました。
どんよりとした梅雨の合間、さらに薄暗い樹林帯の中ひっそり咲いていました。
小さな小さな1㎝に満たない濃い紫の花。
落ち葉にまぎれてしまうので、葉が背景になるように上から撮ってみたもののピンボケで情けない。
かろうじて花の形が分かるでしょうか。
今日のもう一つの目的は、アケボノシュスランの生育場所を確認しておくことでした。 沢沿いにあるわ、あるわ大群落。 これなら花を見つけるのに苦労はしないでしょう。
秋が楽しみです。
十国峠、東光寺、岩戸山を結ぶ稜線はこの付近では一番高く分水嶺になっています。
山の水の一つは姫の沢となって熱海側に流れ、もう一つは奥湯河原から熱海市泉に流れていきます。
この二つの源頭部が熱海市水道局の取水地となっています。 私もこの水を飲んでいるわけですね。
今日は姫の沢沿いに東光寺に登り、さらに沢沿いに湯河原道に下りました。湯河原登山口まで下りたら折り返し岩戸山まで登り返します。
水辺に多いこの季節ならではの花々を見ながら、はじめチョロチョロとした一筋の流れが下るにつれて次第に水音高く大きな流れになっていく様は、当たり前のようでいて不思議で雄大で豊かです。
ヤマアジサイ: 薄暗い林間の水辺で、白いガクが浮き立つように美しい。
アマギツツジ: 天城以外にも東光寺周辺で見られるという資料を読んだことがありました。 確かにアマギツツジです。
オトメアオイ: だと思います。 カンアオイの仲間は同定が難しい植物のひとつですが、地域的な生育域が限られているのが一つの目安です。
伊豆半島周辺で見られるのは大体三つ。 アマギカンアオイ、ランヨウアオイ、オトメアオイです。
箱根や天城のみで見られること、葉の先端が丸みを帯びていること、葉柄が紫色、花と葉が同じ年に出ないことなどが手掛かりのひとつです。
アマギカンアオイは葉が独特ですし、新しい葉と蕾が同時に出ているのをよく見かけますし、葉柄は緑です。
クサアジサイ: 蕾の状態。沢沿いに群生。
開花を見てみたい。
イズコゴメグサ: フォッサマグナ要素のこの地域特有の植物です。
花は秋ですね。
カセンソウ: これも初お目見え。
キク科特有の花なのに、変わった葉をしています。
ソクシンラン: 花はすでに終わり実になっていましたが、これも初お目見え。
岩戸山は私のホームグラウンド。 お天気さえよければ朝起きてエイヤッと出かけることもできます。 今日は植物観察大満足の一日でしたが、再確認したいものがいくつかあり! まだ明けない梅雨空が恨めしい。
7月3日(水)
真鶴半島
初お目見え、タシロランです。
前回6月の半ばに訪れた時はまだ早かったようですが、今日は一つ見つけたら次から次へと見つかりました。
腐生植物のひとつです。落ち葉などの養分をもらって根に菌類を共生させて養分を得ているとのこと。 光合成をしないので薄暗い林内でその白い姿は意外に目に留まります。
天城では、ブナ林の厚く降り積もった落ち葉の中で同じ腐生植物のギンリョウソウをよく見かけます。 一方、タシロランの生育しているお林はクロマツ、スダジイ、クスノキなどの常緑樹の森です。 いずれにしても、人の手が容易に入らない自然に降り積もった落ち葉の中でしか生きることができないとても繊細な植物です。 そっと守りたいものです。
もう一つのお目当てコクランは今回も見つけることができず残念。
ウメボシイソギンチャク:岩の上で潰れた梅干しのようなちょっと情けない姿のがどうやらそれらしい。海水が上がってくれば花が咲いたようになるのでしょうが・・・
相模湾の至る所に生息していたといわれ、関東大震災で海底が隆起した時にほぼ死滅し、多く残ったのが真鶴半島とのこと。
磯遊び。 随分していません。日がな一日ゆっくり潮だまりで遊びたいものです。
番場浦石丁場跡: 切り出した跡が残ります。
ここの石は軟らかな凝灰岩のようです。
6月26日(水)
アマギツツジの季節
このところのお気に入りは、大小屋天井を抜けて右手に白砂天井と岩尾天井を眺めつつ、旧本谷歩道をぐるりと回って八丁池に下りてくるコースです。
植林のために切り開かれたところが何カ所かあり、先ずは何といっても景色がすばらしい。
そしてブナとヒメシャラの見事な森。
そして、その日の気の向くまま地図を見ながらコースを変えつつ豊かな森を散策できること。
八丁池は水量も戻り、すっかり夏の装いです。緑を移した湖面がとてもきれいです。
そろそろ咲いているかもしれないアマギツツジの多く見られる上り御幸歩道を下ってみました。 標高の高いところではまだまだ蕾が硬く、あと1週間ほどでしょうか。
向峠手前まで下りてくるとようやく咲き始めています。
アマギツツジは伊豆半島、天城の固有種です。
ツツジの中でも最も花期が遅く6月下旬から7月上旬が見頃となります。 ツツジとしては大型で咲いていてもなかなか気づきにくいのですが、落花でそれとわかります。
見上げれば咲いていますね。 山にはそんな花たちが多いような気がします。
これから季節を迎えるヒメシャラも落花でそれと分かります。
定点観察中
アオフタバラン
ヤシャビシャク
クモキリソウ
カツラ: 天城で見かけるカツラの木はひこばえがたくさん出て一つに絡みながら独特な樹形をしているものが多くあります。
ナマコ岩の近くで見かけたカツラの木もウロがある巨木でした。
ヤマシャクヤク: すでに実になっていました。
天城でヤマシャクヤクを見たのは初めてです。来年は花の季節に来てみましょう。
6月18日(火) 竜ヶ岳
本栖湖畔から歩き始めます。
湖に住む龍の伝説からその名が付いたと言われる竜ヶ岳は、名前の勇ましさとは裏腹に穏やかな山容で,頂上付近は広くなだらかな笹原となっています。
上りは南側のルート。
ジグザクの樹林帯を抜けて尾根筋に出ると一気に富士山がドカンと現れます。
常に富士山を背中に負いながら歩く形となり、振り返り振り返り、また振り返っては富士山を満喫、上りの辛さもどこへやらです。
360度の景色が楽しめる山頂とのことでしたが、笹の背丈が結構高く、むしろ山頂付近の斜面から眺望の方が良いかもしれません。
駿河灘に伊豆半島:うっすらと見えています。 先端は烏帽子山あたりでしょうか。
雨ケ岳と毛無山: すぐ間近に見えます。 毛無山は昨年より宿題のまま今だ登れていません。
今年こそは登りたい。
青木ヶ原樹海と側火山群: 広大な樹海に浮かぶ側火山群が一望の下。
左の一番大きな側火山が大室山です。 昨年登りましたね。
西湖と御坂山塊: 頂上付近からは西湖、河口湖も少し見えています。
登りたいと思っている鬼ケ岳、節刀ケ岳、十二ケ岳の山々、空気が澄んでいればその奥には八ヶ岳も見えるはず。
帰路の北側ルートは本栖湖を樹間に見ながらの下りです。
ジグザクの急な下りが続き、湖がすぐ近くに見えるのになかなか着きません。
南側ルートには見かけなかったブナやミズナラの樹林帯が続きます。
天城のブナに比べるとまだまだ若いブナの多い森です。
6月13日(木)
真鶴半島
熱海とは目と鼻の先、真鶴半島は小さな半島ながら美しい海岸と豊かな森が残っています。
親しみと敬意をこめて「お林」と呼ばれる森はクロマツ、スダジイ、クスノキ、タブノキなどの巨木が生い茂る鬱蒼とした森で、暑い日でもひんやりとしています。
江戸の大火による木材需要を満たすために植林されたのが始まりで、小田原藩の御留山となり、その後天皇家の御料地となり、やがて真鶴町に移管されて今も大切に守られています。 「魚付き林」とも呼ばれ海と陸の生態系の深いつながりを感じます。
三ツ石: 大潮の干潮時には歩いて渡れるようです。 トンボロですね。
三つの石の間から昇る元旦の日の出は有名です。
石丁場跡: 海岸の海食台には矢穴が残っており、山側には今も巨大な採石場があります。
ここの石は小松石と呼ばれ、かつては江戸城の築城石として切り出されていましたが、現在では墓石として使われています。
岩海岸: 数少ない砂浜の海岸があり、海食崖には火砕丘の上に乗った岩溶岩の断面が見られます。
荒々しい地球の営みの向こうに近代的な橋のかかる眺めはちょっと不思議な感じ。
如来寺跡: 火砕丘をくりぬいた洞窟が残っており、間近でその断面を観察できて面白い。
海岸の植物たち: いずれも山では見かけないものばかり。
ツルナを食べてみたら塩味でした。 最近では地場産の野菜売り場でたまに見かけることがありますし、同じ種類のものが「アイスプラント」などという名前で売られてもいます。
今日はお林の中でこの季節のランを探そうとやってきましたが空振り。
とはいえ、お昼に美味しいお魚を食べて、プラップラ海岸歩き楽しみました。
6月6日(木)
本谷歩道を巡る
「明日は梅雨入り前の貴重な晴天。お洗濯、お掃除、雨の季節に入る前の準備をしておきましょう。」
昨夜のラジオはしきりに言っておりましたが、すべてうっちゃって出かけて来てしまいました。
予報どおりの晴天。夏日。さすがの山も暑い。けれども清々しい。
森の日陰も濃くなりました。
先日旧本谷歩道を辿った時に、途中で方向を変えましたが、今日は行けるところまで行ってみることにしました。
いくつかの崩落個所のため今では使われなくなってしまった歩道ですが、植林のために切り開かれたところがいくつかあり、空気の澄んだ秋から冬にかけてはきっと最高の眺めでしょう。
今日は残念ながら湿気があがり富士山も南アルプスも駿河灘も雲隠れです。
どうにも迂回できないところで方向を変え、天城縦走路に合流して八丁池まで戻ってきました。
今年の冬は水量が随分と減っていましたが、今日の八丁池はかなり回復しており、モリアオガエルの鳴き声もしきりにしています。
帰路は久しぶりに上り御幸歩道を歩いてみました。
花はすっかり終わっていますが、ここにもアマギシャクナゲがあるのに初めて気づきました。
アマギツツジの花はまだ早く、わずかに一輪を見つけたのみ。
定点観測中。
アオフタバラン: 花穂がわずかにのぞき始めました。
ヤシャビシャク: 花は終わり、実がつき始めています。
クモキリソウ: ツヤツヤ元気に成長中。
今年は株の数が増えたような気がして嬉しい。