5月19日(木) 花ざかりの天城
天城高原ゴルフ場から万二郎岳、万三郎岳をぐるっと回って来ました。
この季節、周遊コースはアマギシャクナゲ目当てのハイカーでいっぱいです。
登り口あたりから満開を迎えた「トウゴクミツバツツジ」の群落がそれはそれは見事でした。
「馬の背」と呼ばれる万二郎岳から万三郎岳に向かうなだらかな稜線は、アセビのトンネル、豊かな新緑の木々の中を抜けてゆき、「石楠立(はなだて)」に向かいます。
ようやくアマギシャクナゲが現れてくると万三郎岳もすぐです。
景色を眺めたり、花を観察したり、写真を撮ったりしながらの山歩きですから、大体同じ何組かの人たちとお互いに追い抜き、追い抜かれながらの繰り返しです。
途中、何度もお会いしたご夫婦は40年ぶりの天城とのこと。
40年前は登山道の両側からが覆い被さるようなアマギシャクナゲのトンネルだったそうです。
まさに「石楠立」は「石楠花立」だったのですね。
百名山の一つでもある天城連山は花の山でもあります。
トップスターのアマギシャクナゲやツツジもいいけれど、林床に密やかに揺れる小さな花も魅力的です。
初顔あり、未同定あり。 これが楽しいのですね。
●●● 植物 ●●●
5月14日(土) 今山
久しぶりの西海岸。 安良里から大田子まで、ぐるりと海沿いの今山遊歩道を歩きました。
西海岸はストンと海に陸が落ち込むような地形が多くて、標高がないとタカをくくっていると痛い目に遭います。
小さな上り下りの繰り返しは思いの外きついのです。
それでも、樹々の道をくぐりながら歩いて行くと、思わぬところで目に飛び込んでくる群青の入り江や島々、入り組んだ海岸線の景色はとびきりのご褒美です。
黄金崎: 北方向の展望。
落ちる夕日の当たる黄金崎は絶景だと聞いています。
今日は富士山は見えません。
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田子島: 田子島を臨む高台の休憩舎で昼食。
ゼイタクです。
遠景 : 木々の間から田子湾が見えてきました。
手前が弁天島、桟橋のあるのが尊之島。その向こうは燈明が崎、さらに三四郎島も見えます。
以前に歩いた海岸線が一望です。
切通し: かつては海底の火山であった痕跡が残っています。
網屋崎: 砂嘴に囲まれた安良里港は穏やかな湾で、かつてはイルカの追い込み漁で栄えたそうです。
突端には灯台、丸石を積んだ藁ぶき屋根の「網小屋」までは急な斜面を下ってたどり着きました。
隣にある浦守神社の参道は海に続いていますので、海から参拝するのでしょう。
時間が止まったかのようです。
●●● 植物 ●●●
イズセンリョウ: 伊豆の固有種です。
チョウセンゴケ科(未同定):ツボゴケかコツボゴケか、あるいはオオバチョウチンゴケか。
透き通るように美しい小さな葉です。
クサスギカズラ: 海岸近くの乾燥地に多く見られる、アスパラガスと同じ仲間です。
漢方として用いられるのは根で、「天門冬」と呼ばれています。
ナチシダ: 河津の七滝あたりが北限と言われて久しく、今山では山中にも海岸近くにも大群落が見られました。 私の背丈より高くて、葉が広がると1mにはなる大型のシダで、すごいとしか言いようがありません。 林床にほかの草花が生育しないのではと少し心配になります。
トウワタ: 海岸近くに群落。 外来種。
アロエ畑: 田子湾を臨む斜面に一面の畑があります。
花の時期に見てみたいものです。
2016年5月12日(木)
函南原生林・5月
友人たち5人で函南原生林へ。
5人のうち3人は植物好き。
そのうちのひとり、友人のお姉さんは東京から参加。
これまた、ものすごく植物に詳しい方で、教わること満載のお得な一日でした。
植物好きが3人もよると、わからない植物がある度に、ああでもない、こうでもないが始まります。
そのため、10分で歩ける距離も1時間かかります。
それぞれ宿題に持ち帰って調べたり・・・それも楽しい植物観察の一日でした。
あとの2人には少々気の毒でしたが、付き合ってくれてありがとう。
●●● 植物 ●●●
サンショウバラ : 原生林の途中の道路際に大木発見。フォッサマグナ要素の植物の代表格ですが、滅多に見られなくなったのは残念です。
葉っぱはサンショウの葉によく似ています。
原種に近い、一重の美しいバラです。
オオカミノケタケ : 髪の毛のように見えるのがキノコの一種らしい。
キノコも見分けが難しいですね。
2016年5月8日(金)
天城の森はみどり
連休終盤にポッカリまぎれた平日、
本谷川の水音と時々甲高く響く鹿の鳴き声の中、ゆっくり天城の森を水生地から八丁池へ。
やっと芽吹いたばかりの木々の緑は初々しく、
空を見上げれば、いろんな葉っぱのレース模様がとてもきれいです。
葉っぱのシルエットで木が分かるのも楽しいですね。
予報では午後から雨。 ちょうど下りてきたところにポツポツし始めました。
久しぶりの3点セット。 山歩きとわさびソフトに温泉。
もう少しすればアマギシャクナゲもアマギツツジも咲き始めます。また来よう。
●●● 植物 ●●●
イワガラミとツルアジサイ: よく見ると、葉の鋸歯に違いあり。
カンアオイの仲間 : 未同定。
1cmにも満たない小さな花。
一瞬、スミレと思ってしまいますが、花の形はまさにキキョウ型。
小さなかわいい黄色の花を付けます。
鹿の食害がひどいのですが、毒のあるアセビやトゲトゲのメギ、サンショウ、バラ科のノイチゴは残っています。
先端の間が丸いカーブを描くイワガラミ。
ノコギリの刃のようなツルアジサイ。
朽ち木: 山を歩いていると青銅色に染まった朽ち木をよく見かけます。これはロクショウグサレキンという菌種がついて染まったものです。
この朽ち木で染めた糸はまさに深いコバルトブルーです。
キノコ類は独特な色素を持っているものがあり、面白い染料の一つです。
同じ種類と思われますが、葉の模様の入り方にかなり違いがあります。 紫色の軸や花を見ると、アマギカンアオイではなさそうです。
一度は見てみたかった花です。 光合成をしないので真っ白です。
滅多に出会えないので、立ち去り難し。
まもなく咲き始めます。
2016年4月16日(土)
函南原生林・その2
友人のリクエストに応えて、先週に続き再び函南原生林へ。
わずか1週間の間に、若葉が萌え出てレース模様の森がきれいです。
沢の岩にもコケのレース。 林床の花たちの新顔もいくつか見つけました。
トウゴクサバノオ;「東国鯖の尾」と書くそうです。
プロペラ状の実が鯖の尾に似ているそうで。
これはぜひとも実も観察せねば。
ヤマエンゴサク: 小さくて繊細、可憐な花ですが、ケシ科の有毒植物です。「延胡索」は漢方として知られています。
有毒植物はしばしば薬用ともなりますね。
この草を食べる虫もいて、この虫も有毒だそうです。「毒食う虫は毒」ということです。ウスバシロチョウと言います。
マルバコンロンソウ: アブラナ科の植物で、タネツケバナによく似ています。
フデリンドウ; 5㎝にもならない小さな春咲きリンドウ。
スミレやヤマルリソウの薄紫色にまぎれて、うっかり見落とすことがあります。 よく似たハルリンドウも春に咲くリンドウですが、ハルリンドウは花の模様の縦縞の筋がはっきりしています。
花の付き方、葉の付き方や形にも違いがありますが、個体差もあって、見分けの難しいものの一つです。
ツルアジサイか? まだ幼葉なのではっきりしませんが、葉の鋸歯の様子を見ると恐らくイワガラミではなくツルアジサイと思われます。
花が咲けば間違うことはないのですが・・・これも花が咲いたら再確認。
ニリンソウ: とても有名な春の花ですが、実物は初めてです。
先週はまだ花が咲いていませんでした。 若芽はゲンノショウコやトリカブトに似ているので要注意です。
ニリンソウは一度に二輪は咲かなくて、一つ目が咲いた時は、もう一つはまだ蕾で時間差で咲きます。
ハシリドコロ; 放射状に開いた葉の陰に隠れて下向きに咲くので花の様子がよくわかりません。
ちょっと失礼して。花の外側と内側の色が違います。
2016年4月12日(火)
金冠山から達磨山へ
だるま山高原レストハウスから出発。
まずは富士見コースを通って金冠山へ。
この季節、マメザクラを見にたくさんのハイカーが訪れますが、平日のせいもあってか、私たち2人の独占状態。
マメザクラは「フォッサマグナ要素の植物」の一つで、箱根、伊豆の固有の桜です。 小さな花が下向きに咲いて、まるでパラリとあられをまき散らしたような風情が美しい桜です。
出発の時には見えなかった富士山も金冠山の山頂では登場。
途中出会った山梨から来たという方が、空富士が見たくて・・・と言っていました。
裾が霞んで、空に浮かんだような富士山のことを言うそうで、まさに今日の富士山ですね。
春ならではの姿です。
金冠山から戸田峠を経て達磨山に向かって行くと、マメザクラの群落は見事で、山全体がぼおっと霞んでいるかのようです。
往路は富士山に背を向けて歩く形になりますが、時折息を整えながら振り返っては見る景色に励まされながらアセビの林のトンネルをくぐり、やがて笹原の山稜線を達磨山へと向かいます。
達磨山は十三国峠とも呼ばれる眺望を楽しめる、天城山から続く伊豆山稜線歩道の西の端にあたります。
今日はここで引き返して、戸田峠からは「きよせの森」を通りレストハウスまで戻りました。
●●● 植物 ●●●
アセビ:マメザクラに勝るとも劣らず。満開でした。
リョウブ: 令法と書きます。面白いですね。
飢饉に備える食用植物として伐採を法律で禁止されたことからつけられた名前と言われています。 美味しくもなく不味くもなく。つまりは誰でも食べることはできるものですね。