2月16日(木) 南伊豆・田牛から弓
伊豆の付け根の熱海から南伊豆の田牛まで2時間ほどで到着。
風もなく暖かな早春の一日。
澄み切った青空と海とはるかな島々。
次から次に現れる海底火山の痕跡や奇岩の海岸を伝い歩けば、この地に太古から息づいてきたものに少し触れることができるように感じます。
厳しい海と山にはさまれて、今でも陸の孤島のような集落もあるこの地は、実は今よりずっと栄えていたのかもしれません。
人も物も文化も神様も仏様も海からやって来たのですね。
遠国島やタライ岬には昔の祭祀跡があり、海から神様を迎えたのでしょう。
流刑になった頼朝が遠国島を訪ねたという伝説もあります
長谷寺(ちょうこくじ)には漂着したと伝わる阿弥陀様が守られています。
田牛(とうじ)、逢ケ浜(おおのはま)、日野(ひんの)。地名もどこか異国的です。
文句なく美しい南伊豆の一日でした。
逢ケ浜の柱状節理: 海底に堆積した土石流などの地層の中に貫入したマグマの中にできたとされています。
放射状の柱状節理となっていて、真中に立つと仏様の光背のよう。 3人、その気になって記念撮影。
月間神社: 青龍寺の隣、850年創祀と言われる古い神社。
長い参道の先に拝殿。
拝殿の奥が格子になっていてその先に続く本殿覆屋が見える珍しい造り。 狛犬が子連れでした。
上加茂石丁場跡: 地元の仲間の案内で。
ノミ跡も生々しく、地底都市みたいでした。
1月27日(金) 六方の滝
湯河原、新崎川の支流を遡った源流近く、人知れず柱状節理の美しいがあると聞けば、どうしても行ってみたくなり・・・
乏しい情報と折よく出発してすぐに出会った地元の方の詳しい説明通り、中尾沢という支流を岩を伝って遡ることおよそ10分。
右手に滝(滝1)、さらに正面にもう一つの滝(滝2)。
六方の滝はさらにその上、岩に懸けられたロープ伝いに登った所にある模様。
下から見上げると垂直な岸壁で、危うく諦めるところでしたが、ここまで来たからにはと一人ずつ登ります。
お手本のような見事な六角柱の柱状節理。
まさに六方の滝です。
滝壺は意外に浅く、足も着きそうです。
しばし滝の前で一同見惚れました。
帰路は南郷山、幕山を回ります。
この地が源頼朝の時代の舞台であったことが偲ばれる史跡が山中に取り残されたように点在しています。(自鑑水、小道地蔵堂寺屋敷跡)
相模灘に浮かぶ初島や大島、真鶴半島のまばゆい景色を眺めていると不思議な感じがします。
幕山は急峻な溶岩ドームで、山肌を取り囲むような柱状節理の岸壁はロッククライミングのゲレンデにもなっています。
一気の下りは膝がガクガク、きつかったなあ。
ふもとの湯河原梅園の咲き始めた梅が見え始めてホッとしました。
1月4日(水) 山歩き始め 葛城山から発端丈山へ
久しぶりの葛城山。 竜神岩が見たかったので、東側を周遊して山頂へ。
ロープウェイもまだ動いていない時間、山頂には私ひとり、独り占めの景色です。
葛城山から発端丈山へ。
富士山、駿河灘、淡島が一望の山頂はさらに久しぶりで、またしても独り占め。
まだ9時半でしたが早々と昼食。 4時起きしたので不思議はありません。
パクパク食べれば、どうしようかと迷っていた寄り道をする気になりまして。
引き返して益山寺。
一度来たことはありますが、参道の入り口はずっと下。
下って下って、少し上り返して雄飛滝まで行ってみました。
益山寺の参道は、かつての海底火山の痕跡である角礫凝灰岩の露頭が続き、これまた思いがけず多くの石仏様たちが丁目ごとに佇んでおられました。
石仏様たちの台座も山神様と思われる祠も凝灰岩をそのまま削ったようなところです。この参道だけでも、もう一度じっくり歩きたいところです。
雄飛滝へはまた少し上ります。
「雨が降ってないので、どうかなあ・・」
と、地元の方が言っておられましたが、柱状節理の美しい滝です。
帰路、今度は益山寺まで登って登らなければなりませんが、来てみて良かった「雄飛滝」でした。
●●● 植物 ●●●
冬は植物も少ないのですが、綿毛の美しさや青空に映えるヤマハゼの実のシルエットは冬ならではです。
ここのフユノハナワラビは大型でした。
ニョキニョキ生えていました。
12月12日(火)
爪木崎から須崎
須崎御用邸のすぐ近くの九十浜を出発して、海岸沿いにタカンバ、爪木崎、細間の段、恵比須島まで。
同行の友人が、伊豆半島唯一の半島が須崎半島だと教えてくれる。
鯛中鯛みたいですね。
1000万年前から200万年前の海底火山の活動によって起きた様々な出来事の名残が次から次へと現れます。
地層好きの私たちにとっては何よりのごちそうです。
タカンバ海岸: 熱水による変質で赤茶けた色をしています。
熱水が岩盤に入り込んでできた亀裂には白い沸石がキラキラと光って見えます。
須崎の恵比須島: その周囲をぐるりと歩きながら地層観察ができます。
美しい縞模様の火山灰や軽石の層。
累々と積み重なった水底土石流の荒々しい地層。
磯は千畳敷と呼ばれる平らな磯が広がり、あちこちに石を切り出した跡が見られます。
人の一生など、この美しい地層の1㎜を作り上げる間にも満たないのではないかと思う時、なんだかホッとします。
クヨクヨ、ウダウダ、悩むことなんか何にもないような気になります。
南伊豆は島々も近いですね。伊豆七島がよく見えました。
●●● 植物 ●●●
12月6日(火)
箱根外輪山周遊シリーズ
ーその1ー
はるか昔のこと、修学旅行で来ました。
あまりにメジャーな箱根ゆえに、なかなか足が向きませんでしたが。
箱根峠から出発して、海ノ平、山伏峠、三国山と西側の外輪山の稜線上を行きます。
左手に富士山が垣間見え、右手足下に芦ノ湖と対岸の箱根駒ケ岳を始めとする中央火口丘が何と美しいこと。
山伏峠を過ぎるあたりから思いがけず、ブナの林が広がってきました。
箱根にブナ林があるとは予想外でした。
湖尻峠から一気に芦ノ湖畔まで下りて、芦ノ湖の西岸を箱根峠まで戻ります。
歩きやすい道でしたが、陽の一番短いこの季節のおよそ20Kmの行程はちょっぴりハードでした。
これから冬も本番。 続きは春になってからです。
深良水門: 箱根外輪山に隧道を掘って現在の裾野市の深良村まで水を引いたもの。
完成したのは1670年、関が原からわずか70年後にこんな大水利工事が行われたのは驚きです。
今なお利用されているとのこと。
12月3日(土)
函南原生林
葉を落とした冬の森は意外に明るく、いつもは見えない富士山も木々の間からチラリ、チラリとのぞいたりします。
紫水池がこんなにきれいだったけ・・・?
春、夏、秋と賑やかだった林床の草花のほとんどは、散り敷いてあたたかな落ち葉の絨毯の下です。
ミヤマシキミの赤い実がきれいです。
ゆったりと植物観察を楽しみました。
来光川の源流近くの豊かな森の中は、夜露のたっぷり下りた落ち葉はしっとり湿ったままで、コケが美しいです。
オオカサゴケ: コケの中でも最も美しいと言われています。
初めて気づきました。
キッコウハグマ: 小さなロゼッタ状の葉に比べると花柄はとても長くて、すでにタンポポのような綿毛の種になっています。
このような種子を見れば確かにキク科の植物と分かります。
ヤドリギ: 梢のてっぺんに見えるきれいなまあるい形はヤドリギです。ヤドリギに取りつかれた木はやがて枯れる運命です。
これも森の掟です。
コチャルメルソウ: まだ元気に葉が残っています。
ランヨウアオイ: 寒アオイの仲間。
冬こそ葉が目立ちます。
フユノハナワラビ: 盛りの時期を過ぎていますが、1つだけ発見。シダの仲間は種子である胞子が葉っぱの裏側にあるものが大部分ですが、フユノハナワラビは光合成をする栄養葉を一枚、ワラビのような形の胞子葉を一本だけ出します。 シンプルな美しい姿で、私の大好きなシダです。